なぜ星景写真?
学生の頃の夏休みといえば夏の夜空を見上げて流れ星を数えましたよね?
そうでないとしても、夏休みにキャンプとか帰省とかして田舎に行って夜空を見上げ、降ってきそうなほどの星に感動した人も多いのでしょうか。
夏に向けて気持ちが高まるこの時期、星景写真に挑戦したいななんて思ってしまい、ちょっと遠出して星景写真を撮りに行ってみました。
「夜空ノムコウ」には何があるのかななんて…
あなたまだガクセーキブンなのでしょうか。
そんな余裕がどこにある??
おいおいwww夜空ノムコウwww
今、ココに何があるのか?
現実を見た方が良いんじゃないの!?
撮り方が分からない。どう撮る?星景写真
とりあえず露光時間を何十秒と長めにすれば星は写るものだと思っていました。
しかし、調べてみると結構奥が深いようです。
露光時間については「500ルール」や「NPFルール」といった道のワードが出てきました。固定撮影(赤道儀を使用しない撮影)の際に星を点像として写すための露光時間というのは限界値が決まっているということです。
この辺は別の記事でご紹介できればと思います。
焦点距離にもよりますが、露光時間が長すぎると星が点でなく線になってしまいます。
広角ほど露光時間は長くできます(露光時間を長くしても星が線になりにくい)。
詳細は「NPFルール」で調べてみると良いかもしれません。
確かに。あまり露光時間を長くしすぎると、よくある「北極星の周りを星がぐるぐる」みたいな写真同様に星が線に写るのは理解できますね。理科の教科書に載っているやつ。
星景写真ってどんなレンズで撮るのがいいのか?
とにかく明るい開放F値
よく聞く「明るいレンズ」って何でしょうか?
例として、F1.4のレンズはf2.0のレンズに比べて2倍明るいです。
これは、同じシャッター速度で撮影した場合に2倍の量の光をセンサー面にあてることができるという意味です。
つまり、感度が一定の場合、F1.4のレンズはF2.0のレンズに比べ、露光時間が半分(シャッタースピードが1/2)で済むということです。
暗い夜空を撮影する星景写真においては、F値の小さなレンズを使うことで露光時間が少なく済みます。
露光時間を長くしすぎると星が「点」でなく「線」の像になってしまうので、F値の暗いレンズを使用する場合は、画質低下を覚悟で感度を上げるか、星を追尾する装置(赤道儀)を使用する必要があります。
短い露光時間で何枚も撮って比較明合成という手もありますが、
少し面倒ですよね。
確かに、明るいレンズを使うのが一番面倒でない方法かもね。
赤道儀はちょっと敷居が高いかな。
明るいけど開放絞りでコマ収差が少ない
では、明るいレンズ、つまりF値の小さなレンズなら何でも良いのかというと、そうでもないみたいです。
レンズを絞り開放で使った場合に、「サジタルコマフレア」という収差が画像周辺部で結構出ます。
この収差は「コマ収差」などと言われており、点像であるはずの星が、鳥や虫が羽ばたくような形に変形して写るものです。
私もまだ勉強不足ですが、絞るとサジタルコマフレアを若干押さえることができるようです。
でもせっかくの星景写真、開放F値の小さなレンズはできれば絞り開放で使いたいですよね。
本当に綺麗に星景写真を撮るのであれば、サジタルコマフレアの発生が少ないレンズを選びたいですね。
基本的には、各レンズの作例写真やレビューから判断するのが良いと思います。
収差の少ないレンズってだいたい高いけどねwww
焦点距離はある程度の広角がいい
私の持っているレンズで星景に使えそうなのは、サムヤンの24mm F1.4だけなのですが、いくつか焦点距離のバリエーションがあると、構図の幅が広がって良いかと思います。
それなら単焦点でなくズームレンズを使えば良いじゃないかという話になるのですが、ズームレンズではせいぜいF値は2.8(あるいは2.0)ですから、F1.4クラスの単焦点レンズを数本持つのが良いのかなと思います。
焦点距離15mmくらいまで広角であれば天の川全体を写しやすいそうです。
光害カットフィルターとソフトフィルターについて
光害カットフィルターとは?
夜になるとビルやライトなど、多くの証明に明かりが灯りますね。このような人工の明かりによる問題を光害(ひかりがい)というそうです。
余程の田舎に行かない限り、光害を回避することはできないですよね。
光害カットフィルターは、人工照明に多く含まれる光の波長をカットすることにより、街明かりによる色カブリ(写真が光源の影響などで変な色調になってしまうこと)を抑制して星空と夜景の色合いを自然な色調に表現するためのフィルターです。
確かに、光源によって写真の色調は変化しますね。
最近はAWB(オートホワイトバランス)に設定して撮っても割と安定するけど、昔は結構AWBって1枚撮るごとに色調がコロコロが変化しちゃって大変だったんだよね。
そうそう。
フイルム時代、特にリバーサルは特定の光源のために色温度を設定されたフィルムとかあったもんな。
今はカメラ側の設定やRAWで撮れば現像ソフトで好きなように色温度を変えられるからいい時代になったよね。
光害カットフィルターはいくつかのメーカーが出していますが、私が使用しているのはケンコーのその名も「スターリーナイト」です。
その名の通り、星景・夜景を撮影するためのフィルターです。レンズ枠にねじ込む「ねじ込み式」の他に、「角形フィルター」もラインナップされています。
フィルター径も各種あるので、ご興味ある方は以下リンクからどうぞ。
角型(150 × 150mm)はこちらからどうぞ。
公式サイトへはコチラからどうぞ。詳細が説明されています。
ソフトフィルターとは?
星景写真におけるソフトフィルターの効能って皆さん知っていますか?
ソフトフィルターってなんかファンタジーな感じにするフィルターだっけ?
ソフト効果付きのレンズとかも昔はあったよね。キヤノンとかミノルタにあった気がする。
おいおいwwwまた昔の話ですか。
星景写真でなぜソフトフィルターを使うのかしっかり覚えておきなよ。
現代のデジタルカメラで普通に星景を撮ると、かなりシャープに写ります。
ゆえに星がシャープに写りすぎてしまい、小さな点になってしまいます。
そこで、ソフトフィルターによって点光源(星)を少しぼやけさせれば、特に星座を構成するような比較的明るい星が強調され、良い感じにはっきりと星座が写るというわけです。
そして最強のフィルターはこれ!
どうやら光害カットフィルターとソフトフィルターの両方を使うと良い感じに星景写真や夜景写真が撮れるのですね。
と、いうことは2つのフィルター効果を1つのフィルターで得ることができたら最高だな!そう期待してしまいますよね。
2枚のフィルターを重ねづけする手間を考えると、
1枚に2枚の効果がまとまっていると便利ですね。
で、皆さんの期待にお答えする形で、これらのフィルターが1枚になったのがスターリーナイトプロソフトンです。
これは「スターリーナイト」の光害カットと 「プロソフトン」の星座強調の効果を1枚のフィルターで得られるもので、重ね付けの手間やケラレを抑えるメリットがあります。
なお、ソフト効果は「PRO1D プロソフトン クリア(W)」相当だそうです。
とりあえず撮ってみた
以下、作例をいくつか示します。
カメラ:EOS R6
レンズ:SAMYANG 24mm f1.4(EFマウント)マウントアダプターを使用
基本的に、絞りはf1.4の開放、シャッタースピードは15秒、感度はISO2000で撮影しています(一部異なる設定のものがあるかもしれませんがご了承ください)。
なお、すべての写真で上述の「スターリーナイト」と「プロソフトンクリア(W)」のフィルターを重ねづけしています。
最初に行ったポイントはこのような感じで、市街地の街明かりが強くてだいぶ下の方が明るく写っています。
色温度はRAW現像で調整しています。このくらいの色の方がミッドナイト感があって好みです。
光害の少ない場所を探すのって結構大変そうですね。
海辺にでも行きたいな。
そして、公害の少なそうな場所での撮影にも行ってみました。
ソフトフィルターの効果で星座が強調され、良い感じです。北斗七星がしっかりと写っています。
この日はほぼ無風だったので、露光時間15秒でしたが、枝はほとんどぶれていないですね。
画面中央の柄杓(ひしゃく)の形が北斗七星ですね。
たしか中学生くらいで習った気がします。
星や星座の名前、それとそれにまつわる神話も面白いよね。
私もまた勉強するかなあ。
ベガとデネブとアルタイルな!
夏の大三角!
それにしてもこれ、綺麗すぎませんか!?
こんなに星が写ると、本当にどれがどれなんだか全く分かりません。
見えていないものが見えるのが、星空撮影の魅力なのかもしれませんね。
ソフトフィルターの効果は絶大ですね。
良い感じに星を強調してくれています。
今度は天の川を撮るのも面白いんじゃない?
おすすめレンズ(というか欲しいレンズ)
それでは、星景写真を始めた私が欲しいレンズを以下に示したいと思います。
RFマウントはほとんど選択肢がないですが、Eマウントなどはサードパーティーからは安くて写りの良いレンズが出ているので、そちらを選ぶと良いかなと思います。
焦点距離15mm付近
まず15mm前後のレンズはこれ!
15mm前後の焦点距離であれば、天の川を広く写すことができますね。
そしてやはりシグマのArtシリーズです。星景写真用に開発されたというレンズです。RFマウントの発売が期待されますね。
RFマウントユーザーとしては、今一番手に入れやすいのはこちらでしょうか。
LAOWAのこのレンズ、結構評判が良いみたいで、星景に使用している人も多いです。RFマウントネイティブなのがうれしいですね。
より安価なものを求めた場合、キヤノンだとRF 16mm f2.8 stmも星景写真用としてまずまず使えるようです。
焦点距離20mm
そして20mmはこれ!残念ながらRFマウントはありませんが、シグマはタムロンとともにRFマウント(まだAPS-C用レンズだけですが)に参入しましたので、今後に期待です。
焦点距離24mm
24mmは私の持っているこれをおすすめしておきます。
というか、所有レンズの中でこれ以外に星景写真で使えそうなのがありません。
RFマウント版がないのでEFマウント版とマウントアダプターを使用しています。
電子接点がないのでF値が”00″と表示・記録されますが、絞りリングの操作性なども問題なく使用できています。
他のサムヤンのレンズ同様に、星景写真での画質は非常に評判が良いレンズです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
星景写真、奥が深いです。ただ、かなり面白そうなので個人的に今年は星景写真を頑張ってみたいと思っています。
月齢や天気との兼ね合いがあるので、星景写真を撮る機会は限られてしまいます。特にサラリーマンなら尚更です。
数少ないチャンスを有効活用していきたいと思います。
ソフトフィルターと光害カットフィルターの効果は絶大ですので、星景写真を初めて見たいという方はフィルター類も揃えてみてはいかがでしょうか。
なお、この後しばらくしてペルセウス座流星群を撮りに行ったのですが、流星群は撮れず、オーロラが写りました。
コメント