以前から興味のあったタワマン文学。この度、初めてタワマン文学を読んでみましたので少しご紹介したいと思います。
初めて手にしたタワマン文学書籍は、外山薫さんの「息が詰まるようなこの場所で」です。
いわゆるタワマン文学の小説家さんもたくさんいらっしゃいますが、私にとっては、SNSでフォローしていることもあり、この外山薫(窓際三等兵)さんや麻布競馬場さんの文章がなんだか面白いなと思っていました。そして外山薫さんの「息が詰まるようなこの場所で」読んでみた結果、大変面白かったので、今回記事を書いてみました。
なお、外山薫さんの他の作品や麻布競馬場さんの作品もぜひ読んでみたいと思っています。読んだらこのブログで紹介したいと思います。
作者がそれまでの人生で人間をよく観察しているのだとは思いますが、とにかく登場人物が良い味を出しています。
登場人物は大まかに言うと3家族です。そのうち2家族は特に色々と面白いです。そして登場人物はどれも特徴的です。この人は何も考えていないボケッとしたキャラなのかな、とか、この人は嫌なヤツだな、なんて思っていた人が、実は色々なことを考えて色々な選択をしてきた人だったりします。
出てくる登場人物、全員がなんというか「良いヤツ」なんですよね。この「良いヤツ感」は緻密な心理描写によって表現されています。
登場人物に「良い味」がある。
作中では登場人物から別の登場人物へ目線が切り替わるポイントがいくつかあり、それぞれの人物の内面から物語を見ることができます。よって他の人物が気づけなかったことに読者が気づけるわけです。
一人称で進んでいく物語でも、多数の登場人物それぞれからみた景色を描写するからこそこれが可能になるのですよね。
登場人物に共通しているのは、現代社会の中で自分がしてきた選択を時々後悔してしまうことです。
そして、みんなそれぞれ悩んでいる、ということです。
「本当は家業なんか継ぎたくなかったけど、自分が継がなくちゃいけないことは分かっていたから継いだ」なんて話は田舎ではよくあるのでしょう。
ややもすると「自分で選んだ人生なんだからしょうがないでしょ」と言われかねないのですが、それを言ってはお仕舞いですよね。
子どもの方が親よりもよっぽどよく考えていたりして。子育てをしている身からすると、子どもに対する姿勢は色々考えさせられるところがあります。
そして30代の私が気づいたのは、この本の登場人物が示しているような感情は全て、私自身も少なからず持っているということでした。
同年代の皆さんは、「こういう気持ちになったことあったよなあ」と思える場面があるかと思います。
すらすら読めるので、タワマン文学に興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
次に読みたいのはこれですね。タワマン文学とうかTwitter文学というらしいです。