なぜこの本を手に取ったのか
普段は技術職として働いている私ですが、最近、仕事で資料作成を頼まれる機会が増えました。「資料作成を頼まれる」というのはつまり自分が使うのではなく、課として使用する資料です。
多くの場合、資料にする内容は既に決まっていて箇条書きや簡単な文書で渡されます。私の仕事は、それをかみ砕いて説明者や説明を受ける側が分かりやすいような資料を作ることです。
管理職を含め、上司が皆、各課の仕事内容を知っているわけではありません。必ずしも自身の専門分野で職位が上がっていくわけではないからです。出世させたいけどポストがない、そういう場合は別の部署で偉くなるというのが結構あるものです。よって私の作成する資料は、専門外の分野の部署で管理職としてあてがわれた際の、彼らの勉強用としての資料という側面も持っています。
ありがたいことに色々な資料作成の仕事をもらっているのですが、再度自分の資料作りについて見直してみたいと思うようになりました。というのは、限られたスペースの中で、より効率よく内容を伝えるためには、デザインの力を鍛える必要があると考えたためです。
わかりやすく伝えようとするあまり、また、抜けや漏れがないようにしっかりと伝えようとするあまり、文字数だけが増加して読むのに時間がかかってしまうのは良くないのではないでしょうか。
しっかりとデザインすることで、文字だけに頼った説明でなく、パッと見でイメージが付くような資料作成を勉強したいと思いました。
少し前からこの本の存在は知っていましたので、書店で見かけた際に購入してみました。
学んだこと|1つだけ紹介します
私が一番なるほどなと思ったのは「翻訳する」という考え方です。
この本で紹介されている翻訳とは、単に言語を別の言語に訳すことではありません。
では何かというと、それは文章(言語)で表されていることを非言語へと翻訳するということです。言語による表現とは、文字による表現です。一方で、非言語による表現とは写真や図によって行われるビジュアル表現です。
これこそが私が求めていた、「限られたスペースの中で、より効率よく内容を伝える」ことでした。
もちろん、言語の全てを非言語にすれば良いかというとそうではありません。本書では、色々な例を用いて、言語多めのパターンと非言語多めのパターンのデザイン例をそれぞれ示すなど、とても丁寧に運用方法を解説してくれています。
非言語で示した例としては、公衆トイレの配色が挙げられます。男子トイレは黒や青、女子トイレは赤などで示されていることが多いですよね。これが良いか悪いかは別として、ジェンダーフリーが定着しつつある現代においても、わかりやすさを優先して、パッと見たときの判別しやすいような配色を採用しているわけです。
まとめ|本書をおすすめする人
上記のトイレの例のように、全て言葉で説明するのではなく、非言語で伝えられることは伝えてしまうと、非常にわかりやすいかと思います。
特にプレゼンテーションの時間は限られていて、その時間を有効活用しなくてはなりません。
本書について、私は参考になることが非常に多かったなと思っています。本記事で紹介した非言語意外にも、デザイナーの7つ道具として、あと6つ、デザインにおいて重要なことを本書では紹介してくれています。
仕事で資料作成が多い人はぜひ読んでみてください。